一般財団法人 日本不動産研究所 九州支社 副支社長 山﨑 健二

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  • 山﨑 健二
        一般財団法人   日本不動産研究所 九州支社
副支社長

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データで見晴らす福岡都心部の不動産マーケット

佐賀県唐津市出身。不動産鑑定士。慶慮義塾大学法学部卒業後、1987年に財団法人日本不動産研究所福岡支所入所。
2013 年4月より九州支社副支社長。1993年から地価公示・地価調査評価員となり、2006年4月から2013年9月まで福岡県代表幹事を務める。
2012年6月には国土交通大臣より感謝状を受ける。

日本の経済成長が停滞する今、外資系ファンドによっては、
投資する都市が、東京、大阪、名古屋、福岡に絞られるという。
ここ福岡は、すでに世界に選ばれた都市なのかもしれない。
日本不動産研究所の山﨑健二氏が、その理由をデータで繙く。

ここ10年の
福岡市都心部不動産は

ファンドバブルで地価が高騰したのが平成17〜19年。
平成20〜21年はリーマンショックで、全国で福岡市の地価がいちばん下落しました。
成長が大きかった分、下落幅も大きかったということで、むしろ福岡に元気があることの裏返しです。
平成23年3月に東日本大震災を経験し、不動産取引も沈静化しました。
低金利が続き、低コストで投資マンションなどが買える状況となって、国内外の不動産投資ファンドや富裕層が買い始め、地価は少しずつ上がってきているという状況ですね。
外資のファンドなどは平成23年頃から天神の賃貸マンションを買ったりして、翌平成24年にはいい物件の売買が出てきました。
平成25年から日銀が金融緩和を行い、不動産投資ファンドや富裕層にとっては、融資環境が非常に良くなっています。


全国で
注目を浴びる福岡

人口の増加が最大の要因ですが、アジアに近いこともあり、国内外の不動産投資ファンドは、福岡市を東京に次ぐ有望都市とみています。
不動産投資の場合、5〜10年後も発展する都市の成長力だけが投資の決め手ですから、マーケットボリュームが大きくても、成長性が見込めない都市には一切投資されません。
福岡市は、政令指定都市の中では極めて成長力が強いため、潤沢な投資マネーが入ります。
また、地震や津波のリスクも低く、データセンターとしても有望です。
現在の福岡市の不動産投資市場について概括すると、オープンエンド型(投資家からの払戻要求金額ができる投資信託)の私募リートの売買が活発です。
外資も活発で、大博多ビル、JT博多ビル、MG薬院ビル、H&M、FOREVER21などがそうですね。
福岡スタンダード石油さんなど、地元事業会社による積極的な物件取得も福岡の特徴で、九州一円の個人投資家も含め、プレーヤーの幅が広いと言えます。

データが裏付ける
福岡市の発展性

福岡市の成長を裏付けるデータとしては、「人口の増加」「国際会議件数全国2位」「ビジネスホテル稼働率の上昇」「地上昇」などが挙げられます。
地価がリーマンショック以前の水準まで戻ったかというと、住宅地についてはどの政令指定都市も戻っていません。
福岡市はリーマン前の約94%の水準であり、他の政令指定都市と比較するとよく戻っている方です。
外国人観光客も増加しており、九州運輸局が発表した2013年に九州から入国した外国人数(速報値)は前年比9%増の125万3065人で、2年連続で過去最多を更新しました。
博多港のコンテナ貨物取扱高も、平成25年は過去最高の86.8万個に達し、平成10年の2.4倍になっています。
また、人口に占める大学生の割合が多いのも福岡市の大きな特徴です。

注目すべき
福岡市の開発エリア

これから注目すべきエリアは、教育環境が良好で将来的に高級住宅地になる可能性を孕む「アイランドシティ」、
JR九州が117億円で九大跡地を取得し、青少年科学舘や鉄道博物館が計画されている「六本松」、
市街地に残された最後の大規模地で希少性がある「九大箱崎キャンパス」、
2020年度に博多駅と繋がる予定の「市営地下鉄七隈線エリア」などがあります。
博多駅周辺では、日本郵便が開発する博多郵便局跡地の商業ピル117階に出店予定の「マルイ」があります。
平成28(2016)年春に南側の「新博多ビル」と同時期オープン予定です。
天神地区では、「福岡パルコの増床」、「福岡地所Sクラスピル計画」、「大名小学校跡地」、「ロンハーマン」などが注目です。

新博多ビルの賃料が試金石

今後の展望としては、新博多ビルの募集賃料が高ければ(共益費込/坪2万円以上)、オフィスマーケットが立ち直り、天神にも波及すると思います。
マルイの進出で博多駅の商業集積が一気に増加し、博多駅は単独立地ではなくなります。
一方、天神はロンハーマンなどが出店し、富裕層を顧客対象とした店舗は天神、となるでしょうか。
金融緩和継続で超低金利が続き、不動産投資市場は引き続き活発でしょう。
消費税増税後も分譲マンション市場はしばらく好調が続くと予測されています。
福岡はコンベンション需要が旺盛で、ビジネスホテルの開発や投資物件としての組み入れが急増すると思います。
都市は「資本財」です。
不動産には必ず波がありますが、リーマン後、福岡の不動産は再興しているさなかですので、
是非、どんどん都心で勝負して頂いて、福岡で頑張って頂きたいですね。

この10年の福岡市経済年表

  • 田村 靖邦
  • 中村 信喬
  • 重野 正博
  • 森 重隆
  • 杉元 崇将
  • ケン・チャン・チェン・ウェイ
  • 麻生 渡
  • 山﨑 健二

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